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幸村誠『プラネテス』

なお

 

俺が好きな、プラネテスという漫画を紹介する

 

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これは近未来の話。

主人公・ハチマキは宇宙のゴミ、スペースデブリの回収業者。自分の宇宙船を持つことを夢みながらも、現実は日々のゴミ拾い。この物語はそんなハチマキや彼を取り巻く人々におこる出来事、そしてそこから生まれる葛藤などに焦点があたっている。

 

 

プラネテスで魅力的なのは、どのキャラも人間味があるところ。それぞれが簡単に割り切ることの出来ない事情を抱えながら、仕事をしている。みんな悩みながら、それでも何とか答えに辿り着こうとして一生懸命もがいているのが、いつの間にか漫画を読んでいる自分と重なってくる。

 

 

一番の見所はキャラクター達がそれぞれに葛藤し、行動し、それなりの答えを見つけて行くところだ。実際に働く人ならば誰もが経験するんじゃないか。陳腐な表現で言うと、理想と現実のギャップに苦しむっていう。

 

 

逆に少し残念だったのは、キャラが持つ設定が深く、掘り下げるのに何話も使ってしまう為、途中でストーリーの大筋が中断されて短編集みたいに見えてしまうときがあったこと。多分、キャラそれぞれの設定が練られすぎていた割に、登場人物が多すぎたのかな。月で生まれた月面人(ルナリアン)のノノなんかは、ストーリーの中心に食い込んでくる雰囲気がすごくあったんだけど、サッと引いてしまった。全4巻の中でストーリーを展開するなら、回収できない話は思い切って切り捨てて、大筋をもっと掘り下げて欲しかった。そうしたら最後のハチマキのシーンももっと来るものがあったのかと。

 

 

とはいえ、全体としてみればすごく良い雰囲気を持った、現実的なSF漫画だと思う。どれくらい好きかというと、おそらく、今よりずっと素直な高校二年生位のときに読んでいれば、一生のバイブルになっていたかもしれない。なにか割り切れないものを表現しているのが好きな人にはオススメ。

 

 

なお